皆さんは新しいことを学ぶことに挫折してしまったことはありますか?
本を読んだり教科書を広げてノートに写していても数日後には全然覚えていないなんて経験はあるんではないでしょうか?
実際に私もそうでした、せっかく何時間もかけて一冊の本を読み上げても身についている知識が全然ない、思い出せない、もう一回読み直してみたもののまた何日かすると忘れている、、、私はなんでこんなに記憶力が悪いんだと自己嫌悪になったこともあります。
しかし記憶の原則に基づけばそれは当たり前のことなんです、なぜなら長期記憶を形成するには何度も繰り返し思い出す必要があります。本や教科書を読んだり先生の話を聞いたりする時間の長さよりもいかに適切に思い出す回数を増やすかが重要なんですね。
よくインプットよりもアウトプットが大事ということが言われますがそれはアウトプットする時に学んだ知識を思い出す工程が必ず発生するからです。
主なアウトプット方法は二つあります。
1学んだ内容を人に話す
2学んだ内容をノートなどに書く
どちらも記憶の定着には効果が大きい方法ですがデメリットもあります。
デメリット
・人に話すアウトプット方法
人に話をするのには聞いてくれる相手がそばにいる環境じゃなければできない
・ノートなどに書くアウトプット方法
ノートに書き出すのは紙とペンがあればすぐできるが書き出す作業に時間がかかる
そこで今回は時間もかからずどこでもできる万能なアウトプット方法を紹介します。
それは学んだことを思い出すだけだけでできる【想起法】という記憶のテクニックです。
これはアウトプットの本質は覚えたことを思い出すことという原則に基づいた非常に簡単で効率的なテクニックになります、あらゆる勉強に応用できますので必ずマスターしましょう。
記憶力テスト
記憶のテクニック【想起法】を解説する前にまず簡単なテストをしてもらいます、次に出題する夏の星座7問を覚えてください。
覚え方
単語一つにつき10回繰り返し読み上げてください、「ヘラクレス座」「ヘラクレス座」「ヘラクレス座」、、、、、のように繰り返してください。
ポイントは文字をしっかり見ながら丁寧に発音することです
10回ずつ読んで覚えたら次の指示に従ってください。
夏の星座7問
1ヘラクレス座 2りゅう座 3ヘビつかい座 4いて座 5はくちょう座 6ヘビ座 7わし座
今読み上げた夏の星座7問を短期記憶から抜けるまで30秒以上間を置きます、時間を置くためにこれからなぞなぞを出題しますので考えてみてください。
なぞなぞ クジラより大きくてありより小さい動物なーんだ?
なぞなぞの答えは浮かびましたか?答えが分からなくても時間が30秒以上経っているなら構いません。先ほど覚えた夏の星座を7問見ないように目をつぶって思い出してみてください。。。。
どうでしょうか、全て思い出すのは難しかったのではないでしょうか?
あなたは何問思い出せましたか?
記憶力の目安
0〜2問正解 記憶が苦手
3〜5問正解 普通の記憶力
6〜7問正解 優れた記憶力
ちなみに先ほどのなぞなぞの答えはそんな動物いるか!ということで答えはイルカです。お粗末さまでした。
思い出すタイミングが重要
先ほどのテストで全て解答できた方は記憶力がかなり優れている方です、なぜなら先ほどの手順で覚えるやり方は記憶方法としては間違ったアプローチ方法だからです。なので覚えられなかった人も落ち込むことはありません。
よく覚えたいことは声に出して覚えなさいとか繰り返し反復しなさいと言われていますが正しい方法ではありません。
先ほどは夏の星座を見ながら声に出して10回読み上げてもらいました、このことで最初よりスムーズに発音できるようにはなったかもしれませんが記憶に残すことはできません。
また同じように黒板に書かれたことをノートに書き写す行為も文字を書く練習にはなるかもしれませんが記憶に残すという点ではあまり意味のない行為です。
残念なことに真面目な方ほどこの罠にハマり時間を浪費していることが多いのが現状です。
記憶で必要なことは声に出すことや書き出すことでもなく適切なタイミングで思い出すということなのです。
適切なタイミングとは覚えた情報が頭から抜け落ちそうなタイミングです。
一度注意を向けて覚えたものはまず短期記憶に入ります、短期記憶の保持時間は15秒〜数分と言われています。そこから脳にある海馬という器官が情報を厳選して重要な情報や保管しておくべき情報と判断されたら長期記憶へと移行します。長期期間に入った情報は1時間から1生分もの期間覚えていられると言われています。
このことから想起する一つ目の適切なタイミングは短期記憶から情報が抜ける頃合いです、少なくとも15秒ぐらい時間を空ける必要があります。
短期記憶に情報が残っている状態で何度繰り返し覚えても長期記憶には入りません、先ほどのテストのように短い時間でヘラクレスヘラクレスと言葉を繰り返しても記憶の定着にはつながらないのです。
次に長期記憶から情報が抜けるタイミングです、1時間後から数時間後、次に翌日、1週間後、1ヶ月後が思い出し復習するのに良いタイミングになります。
当然ながら思い出す回数が増えるたびに記憶はより強固になっていきますが復習にばかり時間を使ってしまうと新しいことを覚える時間が取れなくなってしまうデメリットも生じます。
そこで私が個人的にお勧めする想起タイミングは覚えてから15秒以降と翌日の2回です。
1回目は15秒後に一度想起して思い出せないものは全て思い出せるように復習する。
2回目は翌日にもう一度思い出して全て覚えているか確認し思い出せないものは再度全て復習する方法です。
なぜこのタイミングかというとまずは短期記憶から長期記憶に移すのはマストだと考えるからです。長期記憶に移せたかどうか確認するには15秒以降に思い出せたかどうかで判断することが可能なので、まずは15秒以降に想起をして長期記憶に情報を入れます。この長期記憶に入れる詳しい方法が後述する【想起法】になります。
次に翌日のタイミングをお勧めするのはエビングハウスの忘却曲線によると翌日に思い出せた情報は1ヶ月後も覚えている可能性が高いという結果が出ています。ですので翌日まで覚えていることを意識することで効率的に記憶の定着をはかるためです。
思い出し復習するのに最適なタイミング 特に重要なのは
・15秒〜5分
・1時間以降
・翌日
・1週間後
・1ヶ月後
想起法を試してみよう
正しい想起法は覚えたい情報が短期記憶に完全に残っている間に想起してはいけません。つまり文字を見ながら繰り返してはいけないのです。先ほどの夏の星座の例で言うとヘラクレス座ヘラクレス座ヘラクレス座と繰り返し読み上げる行為では短期記憶を維持することはできます。
しかし長期記憶に情報を移行するには間違った方法です。長く記憶を残すには短期記憶が残っている状態で反復しても効果は薄くなってしまします。短期記憶はおよそ15秒から30秒ほどで失われるので最低でも15秒以上経過した後に復習する必要があります。
これからもう一度テストをしてもらいます夏の星座7問②を覚えてもらいます。今度は次の手順を守って実践してみてください。
では手順解説に参ります、以下手順です。
手順
1 文字を読み一つ一つイメージ化する(映像を頭の中に思い浮かべる)
例 ヘラクレスなら筋肉モリモリの青年、いて座なら弓を引いている姿など言葉から連想するイメージを思い浮かべる。
いて座→痛(いて)っ座→怪我をしている人をイメージなど言葉から連想して本来の意味とは違うイメージに変換して覚えることも有効な方法。頭の中に具体的なイメージを思い浮かべるのを優先しましょう。
2 全てイメージ化できたら文字を見ないで夏の星座7問②を想起(思い出す)する。
思い出せない時は繰り返しイメージと想起を繰り返す。
3 全て間違えず想起できるようになったら15秒時間をおいて再度全て想起する。
15秒後に思い出せないものは再度イメージ→想起を繰り返す。
ポイント
15秒時間を置くときは頭の中で星座を繰り返し反復してはいけない※短期記憶の維持をしないで
それでは再度テストです↓手順を確認しながら下の夏の星座7問②を覚えてみてください
夏の星座7問②
てんびん座 さそり座 こと座 こぎつね座 いるか座 かんむり座 みなみのかんむり座
全て記憶できたと思ったら同じように短期記憶の情報が残らないように30秒以上時間をおきます。また次のなぞなぞにお付き合いください。これも答えが分からなくても30秒以上時間が経っていれば次に進んでください。
なぞなぞ トラックにりんご、ぶどう、メロンを積んだトラックがカーブで曲がるときに落としたものはなーんだ?
さてそれでは先ほど覚えた夏の星座7問②を見ないで思い出してみてください。
どうでしょうか?最初と比べて格段に思い出しやすかったのではないでしょうか。これが正しい記憶方法です。2回目にやってもらった行為は短期記憶から長期記憶へ情報を移行し長期記憶から情報を引き出すという処理を脳内で行なっています。これを繰り返すことで記憶はより強固なものになりすぐに思い出し、忘れにくい記憶になっていくのです。この正しい想起法を利用することによりものを覚える効率は格段に上がります。
この想起法が万能なのは何を覚えるにしても活用することができることです。そして短期記憶→長期記憶→想起という手順を踏むことで記憶力の基礎体力も鍛えることができます。
ちなみに先ほどのなぞなぞの答えはスピードです。カーブするときは速度減少が基本ですね
ここで以下に想起法の手順についてまとめています。この手順で教科書や本などの情報はもちろん講義や動画教育など耳で聞く情報にも応用して利用できます。
慣れるまでは手順をスクショしたり、手順を自分のノートやスマホなどに写したりしてすぐ実践できるように徹底してください。マジで効率的な覚え方です。覚えるスピード、復習のスピードが段違いにアップします。
想起法の手順
1覚えたいものに注意を向けてインプット
・文章を覚えるのではなく重要なキーワードを覚える
・イメージを連想することで記憶に残せる、頑張ってイメージ化する
・意味が分かっていない情報はそのまま覚えるのではなく意味を調べておく
2覚えたいものをインプットできたと思ったら情報を見ないで一度想起する。
・インプットに時間をかけない、長時間覚えようとするよりパッと覚えてじっくり思い出す
・思い出せないものは再度情報に注意を向けてインプット→全て思い出すまで想起を繰り返す
・覚えにくい情報は特徴を持たせる
3覚えたいものを想起できるようになったら15秒〜5分程度時間をおいて再度想起する
・目的は短期記憶から情報が抜けるのを待って、長期記憶に情報を移行させること
・
4適切なタイミングで度想を繰り返す
・適切なタイミングは1時間後、翌日、1週間後、1ヶ月後
・翌日に覚えていた情報は1ヶ月後も覚えている可能性が高い、翌日まで記憶を残すことを意識
想起法を行う上でのポイント
- イメージの力を利用する、文字情報や音情報だけでなく映像を頭の中に思い浮かべることで格段に記憶しやすくなる
- 意味が分からないもの未知の情報は意味を調べてイメージ化できる状態にしておく
- 短期記憶に情報が残っている間に反復しても効果は薄い、しっかり短期記憶から情報が抜けたタイミングで想起する。
- 長期記憶から情報を引っ張ってくる、検索してくると言うイメージを持つこと
- 想起が難しい情報やイメージしづらい情報でも繰り返し注意を向ける※適切なタイミングで想起を繰り返すことで必ず思い出す事ができます
まとめ
今回は想起法についてでしたがこれも繰り返し思い出すことで記憶が強化されるという記憶の原則に則ったシンプルな記憶のテクニックです。ですが効果は絶大なので必ず使えるように意識してみてください。
この方法はイメージに変換しなくても言葉だけで覚えることもできますが覚えたいものをイメージに変換することは記憶の基本です。なるべく映像を思い浮かべるようにしてください。
慣れるまではイメージに変換するだけで時間がかかってしまいますがイメージに変換しようと頑張っているその瞬間にあなたの脳は成長しています。慣れてくると負荷も減って1秒以内でイメージを思い浮かべることもできます。運動不足の人がランニングを始める時最初は苦しくて少しの距離でへばってしまっていても1週間も続けていれば段々楽になってくるのと同じようなものです。
走ることで心肺機能が上がるように、筋トレをして筋肉が発達するように脳もトレーニングで成長します。ちょっとしんどいと思ったら成長している証拠です。そのことを喜びましょう。
そして大事なことはこのようなテクニックは使ってこそ力を発揮します。ぜひ意識して積極的に利用しましょう。
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